地図のない場所で眠りたい

「探検家」であるとともに「作家」の高野秀行、角幡唯介両氏の対談本はとても興味深いものでした。
お二人それぞの著作は以前から愛読していて、ともに探検を主業にしながらも、そのテーマ選びやアプローチの仕方が大きく異なる点に興味を抱いていました。
生活のほとんどを探検と、それを主題とした作品作りに捧げているにもかかわらず、お互いに「いまだに人に聞かれて“職業が探検家”と名乗るのは恥ずかしい」と語り合う両氏。アウトサイダーというか日陰者というか、一般社会では理解されにくいであろう自分の存在を常識はずれな者として自己認識しているということでしょう。
しかし、そんな作家の描くリアルな体験談だからこそ、日本の社会システムの内側で守られて生活している私のような人間には刺激的です。
ソマリアの独立ゲリラ内に侵入してアヘン栽培の現場に行ったり、ヒマラヤ山中で目撃情報のあった雪男の捜索に情熱を燃やしたり・・・。
その時々での心情や行動、思考方法を知ると、やはり面白いノンフィクションを書ける人というのは我々とはまるで違うということを思い知らされます。
早稲田大学探検部の先輩後輩でもあり、親交のあるお二人の対談ということで面白おかしく読める一冊です。
両氏のファンであれば一読の価値はあるでしょう。それぞれのこれまでの著作への興味がそそられること請け合いです。
ただ、対談本としては議論がうまくまとめられているわけでもなく、その分いまひとつ深堀できていないかなという印象はあります。