新たな側面から見た物語『夢の燈影 新選組無名録』

小松エメル著の『夢の燈影 新選組無名録』。

壬生浪士組から新選組へと語られています。

有名な近藤勇、沖田総司、土方歳三などの人物も出てきますが、この物語では脇役です。

無名と言っても新選組を好きな人には知っている人もいるのかもしれません。

そんな普段は脇役的な六人の人物にスポットライトを当ててここでは語られています。

新選組をこんな側面から垣間見ることも楽しいです。

いろいろな思いを抱いて新選組として任務を遂行していったのでしょう。

それに、この物語は切なくも悲しいものがありました。

薩摩藩の間者と疑われた蟻通の気持ちはいかがなものかと想像してしまいました。

近藤勇が養子縁組をした周平は、周りからあまりよく思われていませんでした。剣術に優れているわけでもないのになぜ養子縁組をと疎ましく思う隊士がいたようです。

正直私だったら辛いです。

切腹して死に逝く者を見届ける寄越人の兵庫の話には胸が締め付けられる思いでした。

監察方のような嫌われ役の仕事には、いろいろと考えさせられました。

どちらにせよ、誰かがやらなくてはいけない仕事だったのだろうと思います。

ここには新選組の平隊士の心の機微が描かれています。

新選組として活躍している時から次第に弱まっていき死に逝く姿は、やはり悲しくて心が痛みました。

戦にしても切腹するにしても死が密接な時代。

命とは何かと考えてしまいました。

無名隊士とは言え、みんな夢や希望を抱いて新選組に入隊してきたのでしょう。ですが、そこには厳しい現実があるのです。

そう思うと、深く考えてしまいます。

それと本書は文庫化されて特別書き下ろし作品が収録されています。

少し不思議な感じの物語でした。

新選組に興味がある人もそうでない人も違った側面から新選組の物語を堪能してみてはいかがでしょうか。

新たな新選組を本書から見出すことが出来るかもしれません。