現代人の感性を抉り出す 本谷由紀子『あの子の考えることは変』

本谷由紀子の『あの子の考えることは変』を読みました。本谷由紀子のことは昔から好きで、当然、芥川賞受賞作である『異類婚姻譚』も読んでいます。

『異類婚姻譚』で本谷由紀子に初めて触れたという方は、この『あの子の考えることは変』を読むと、彼女に対するイメージが変わるかもしれません。

本谷由紀子は元々演劇をしていたことも関係してか、随分と口語的で俗っぽい作品を書きます。この「俗っぽい」というのは決して悪い意味ではなく、現代を生きる私たちにぴったりと寄り添った作品となっているのです。

「あの子の考えることは変」と言いながら、この小説に登場する二人の女性は、どちらも極めて変な人です。たぶん、私だったら友達になっていない。でも、その二人が変は変なりに強く生きていて、でも変だからお互いに相容れないところがあって、そうして、二人は傷つけあいながらも頑張って生きていくのです……。

という風に書くと、これは二人の女性の恋愛物語なのかと思われるかもしれませんが、そんなことは全くなく、すがすがしいまでに暴力的な二人の女性の友情物語です。

本書に限らずですが、おすすめの本谷由紀子の読み方は、家でお酒をがぶがぶ飲み、泥酔した状態で号泣して読むこと。きっと若い人ならば、男女問わずこの楽しみ方ができるのではないかと思います。もちろん、自分はまだまだ若いと思っている方も、彼女たちの苦しみを自分のことのように捉えてしまうはずです。

おおよそ小説らしくはないこの作品は、もしかするとこれまで小説を読んだことがないという方々にもおすすめできる作品かもしれません。特に、女性の書いた作品は優しい文体で読みやすいということもありますので、この機会に是非試してみてくださいね。