過去が追ってくる!ハードボイルド小説「魔女の笑窪」

「魔女の笑窪」は、大沢在昌さんのハードボイルド小説です。氏の作品らしく、舞台は新宿。そして主人公は「水原」と名乗る女性。彼女はある特技を活かして、コンサルタントを営んでいますが、彼女の特技=目利きが効くのは、男性のみ。相手を見ただけで、あるいは会話、あるいは性交渉をすることで、その男性の隠した本質を見抜くことが出来る……性格から癖、性癖まで。裏社会を渡り歩くのに有効なその特技は、彼女がひた隠しにする、過去の経験から得たものでした。

水原が恐れる「地獄島」とは?彼女はそこで、どんな忌まわしい経験をしたのか。水原が関わる複数の事件と平行して、読者にも少しずつ、彼女の半生が見えてきます。そしてとうとう、恐れていた地獄島の番人が目前に現れた時、水原は、忘れたかった過去と対峙する決心をします。それを手伝う相棒は、女性の心を持つ私立探偵・星川。彼(?)と水原のやり取りは女性同士のようで、どこかユーモラス。男性の頼もしさと、女性の優しさを併せ持つ星川が、物語の魅力を増しています。そして言葉少ないながら、水原を支える忠実な運転手の存在も。

水原は追っ手を殺し、過去と決別することが出来るのか?

手に汗握りながら、一気に読み進めてしまいました。